トム・クルーズとヒールアップシューズ——ハリウッドで最も研究された、170cmの完璧主義
トム・クルーズほど、ヒールアップシューズという選択が徹底的に研究された俳優はいない。
2025年5月、カンヌ映画祭での「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」プレミア。6月、F1映画のロンドンプレミア。世界のカメラが集まるたびに、クルーズの足元が注目される。
WWDが記録した、2025年の現場
2025年6月、世界最大のファッション業界紙WWD(Women’s Wear Daily)はF1映画プレミアでのクルーズをこう報じた。「カンヌでは漆黒のエナメルレースアップシューズをタキシードに合わせ、ロンドンプレミアではオールブラックのスーツにブローグを合わせた。ハイトブースティングシューズへの関心は長年にわたって続いており、クルーズがわずかな高さを加えるためにエレベーターシューズを使っているという見方がある」
同じくWWDは2025年5月の記事でこう分析している。「現代のエレベーターシューズは1972年にイタリアの職人マリオ・ベルトゥッリが目立たない隠し底のデザインを発表したことで普及した。今日のエレベーターシューズはその当時より洗練されている」
196cmのキャラクターを演じた170cmの男
IMDbはこう記している。「スクリーン上でクルーズは実物より大きく見えるかもしれないが、もし彼を立ち止まらせて身長を測れば、本人より大きく見えるナポレオン的な俳優のひとりだとわかるだろう。シューリフトと低アングルショットという映画の魔法が、クルーズをスクリーンを埋め尽くす存在にしている」 Celebheights
ジャック・リーチャーシリーズが象徴的だ。原作の主人公リーチャーは身長6フィート5インチ(約196cm)。それを170cmのクルーズが演じた。批評家は懐疑的だったが、映画は世界興収2億ドルを超えた。
「ミッション:インポッシブル」という哲学
イタリアの高級専門ブランドGuidoMaggiはクルーズの本質をこう分析している。「彼が気にするのは、より高く見えることではない。輝いて見えること、自信に満ちて見えること、完璧な装いに見えることだ。彼のイメージは全てを持つ男——金、影響力、権力、色気。それが5フィート7インチであっても何の問題もない。彼には、ジャック・リーチャーを演じる『度胸』がある。それは身長ではなく、カリスマが注目を集めるからだ」
完璧主義者の、靴への哲学
クルーズのキャリアは「完璧主義」という言葉で語られる。自らスタントを行い、パイロットライセンスを取得し、撮影のためにダイビングを学んだ。
その同じ完璧主義が、靴にも及んでいる。「トム・クルーズは常にエレベーターシューズを選ぶ。特に国際的なレッドカーペットでは。高品質で、仕上げが良く、オーダーメイドの靴を選ぶ」
自分の立ち位置は、自分で決める。ミッション:インポッシブルのスタントも、靴の選択も、クルーズにとっては同じことだ——不可能を可能にするための、準備の問題に過ぎない。